結祢は怯えているように瞳を潤ませ、両手を胸の前で組み、体を縮こませた。
「何を怖がる必要がある?お主に備わった特技の一つじゃろうが。しかし、それだけではないはず……。お主、日頃から天界人と親しくしておるな?」
「へっ!?」
エイビルの探るような質問に、結祢はクレイとのキスを思い出して顔をパッと赤らめた。
「し、し、親しくなんてしてません!そ、それに、あ、あれに関してはクレイ君自身が儀式だと言ってましたし……あっ。」
「クレイというと、かの有名な双子悪魔の弟方ではないか!お主……ホラーが苦手なくせに、よりによって奴らと親交を深めておるのじゃな。大した度胸じゃのう……。」
エイビルは心から感心しているように、ほおおと長い感嘆の声を漏らした。
その態度に、結祢は不思議そうに首を傾げる。
「それって……どういう意味でしょうか?」
「……知らぬのか、お主。ならば、小生は話さぬ。ペラペラおしゃべりな奴とは思われたくないからのう。」


