「はむぐっ……自ら名乗るとは、礼儀を心得ておるようじゃのう。ごくっ……その謙虚な態度に免じて、小生も名乗ってやらんこともない。小生は、かぷっ……エイビル・ジオン。厄病神じゃ。」
「厄病神なんですか……って、えっ!?」
結祢はズザッと後ずさりしそうな勢いで、後ろに身を引いた。
エイビルと名乗った少年は、結祢の態度に訝しげに顔をしかめる。
「なぜ、そこで驚くのじゃ?」
「す、す、すみません……。想像していた厄病神と似ても似つかなかったものですから……。」
「むぐむぐっ……一体、どんな想像をしておったのじゃ……んくっ。」
ショートケーキの最後の一口を飲み込みながら、エイビルは不服そうにむぅと口を膨らませた。
「え、えっと……おどろおどろしい感じで、不気味で……もっとお年を召されているかと……。」


