家の近くの公園のベンチ。
結祢は、隣で両手を使ってホールサイズのショートケーキを頬張るクマミミを付けた少年を見て、はあっと感嘆の声を上げた。
「いくら小腹が空いているとはいえ、ショートケーキをワンホールで頼むなんて思いませんでしたよ……。」
「むはぐっ……このくらい食べぬと……むぐっ……食べた気がせぬのじゃ。ショートケーキは……はぐっ……小生の大好物じゃからのう。」
クマミミ少年は結祢の言葉を気にすることなく、幸せそうな笑みを浮かべて両手で抱えたショートケーキを食べ続けている。
まだ食べ始めて二分しか経っていないというのに、ショートケーキは半分以上無くなっていた。


