「だ、だ、だ、誰ですか!?さ、作為的な異変とは、あなたがやったことなんですか!?」
結祢は空手家のように両手を構えて、声の聞こえた方向を向く。
精一杯虚勢を張ったつもりだったが、腰は完全に引け、顔には恐怖と困惑が入り混じった表情が浮かんでいる。
「ねえ……親切に答えてやることないんじゃない?知ったところで、彼女はもう逃げられないんだから。」
同じ方向から、先ほどとは違う声が聞こえた。
ソプラノ調の高い声で、媚びているような甘ったるいものだった。
「す、姿を現さないなんて卑怯ですよ!わ、私が怖くて出て来れないんですか!?」
「私達があなたを怖がる?笑えない冗談はやめてよ。あなたが私達を怖がっているんでしょ。」
結祢の挑発に対して、ソプラノ調の声の主である女性が返答しながら姿を現す。
彼女は縦長の顔に桃色の瞳を持ち、藍色の髪をシニヨンに纏めて、豊満な肉体と抜群のスタイルを持つ魅惑的な容姿であった。
歳は三十代前半といったところだろうか。


