ベッドに横たわるクレイの診察を一通り終えた頃を見計らって、ディザスは医師に訊いた。
「そうですねい、あちきの見解だと……」
「トライプ……余計なこと言うんじゃねえぞ。」
医師の言葉を、クレイが低い声で遮る。
トライプと呼ばれた医師は、わかってやすよと肩をすくめながら返した。
名字はドクト。
緑色のくるくるパーマの髪に黄色い瞳を持ち、顔は女性がうらやみそうなほどの小顔で、実年齢の二十九歳にはとてもではないが見えない。
更に、白衣には不似合いな水色の羽根が付いた手のひらサイズの小さな黒帽子を被っていった。


