双子悪魔のホームステイ


両腕を後ろに伸ばしてしゃがみこんでいたディザスは、背中に手応えを感じて



「結祢ちゃん、準備オッケー?」


首を三十度ほど後ろに向けて尋ねる。



「はい。私が押さえ付けていますから、すぐに飛び立って下さい!」


「離せ……ってんだよ、結祢!」


クレイは尚も暴れていたが、ディザスは彼の体を後ろ手にがっちりと掴み、翼を広げて窓から飛び出していった。


結祢は直前のところで手を離し、二人の姿を見送る。



(そう言えば……クレイ君、すごく気になることを言ってましたね……。“キスをすることは、人間から魔力を吸い取る行為だ”って。人間に魔力なんてあるんでしょうか?私から魔力をもらわなければならないほど、彼は衰弱しているってことなんですかね……?)


ベッドにうつぶせに寝ころび、結祢は自問自答してみたが、答えは出るはずも無かった……。












天界の北東にある天界人専門の診療所。



「クレイ……どうなっちゃってるんですか?」