震える声で訴える結祢に負けて、ディザスは抵抗を諦めたように大人しくなる。
そして、結祢の腕をそっと振り払って、彼女の茶色い瞳に溜まった涙を右手で拭った。
「ディザス君……。」
「もう無茶しないから泣かないで、結祢ちゃん……。結祢ちゃんに泣かれると、俺……どうしたらいいかわからなくなる。それに……その……結祢ちゃんの都合考えずに、抱きしめたくなっちゃうからさ……。」
「おい……雰囲気出してるところを悪いが、治療してえんだけど。」
右手を前に出して溜め息混じりの口調で言うクレイ。
その言葉にハッとして、結祢とディザスは頬を赤くしてパッと離れた。
「ご、ごめん、クレイ。治療……始めていいよ。」


