「やっばい……クレイ、本気で襲ってくる気だよ。逃げよう、結祢ちゃん!」
「えっ?に、逃げるってどこからですか!?まさか……」
嫌な予感が頭に浮かんで、結祢の顔から血の気がサーッと引く。
「もちろん、窓から逃げるに決まってんじゃん!」
言うと同時に、ディザスは結祢の体を抱え上げ、窓からひょいと飛び降りる。
「ちょっ……待って……きゃあああ!!」
結祢の悲鳴が、静かな夜の町に響く。
「逃がすか!!」
翼をバサッと開いて、クレイも窓から飛び出し、二人の後を追った。
三日月の光が、追いかけっこをする三人の姿を照らし出す。
「た、高いところは苦手なんです!!下ろして下さい!!風も痛いですし!!」
瞳に大粒の涙を浮かべて絶叫しているのは、結祢。
体はディザスの両腕の中……空中にある。


