あまりにも凛が羨ましがるから、つい車を止めてしまった。
自分も少しだけ覗いてみたくなったっていうのもあるけど。
まだ昼間ということもあって、屋台も人もまばら。
3人固まってだと、さすがに目立つから俺たちは別々に車を降りた。
俺と俊介は常備している帽子で顔を隠しながら、屋台を見ながら歩く。
「こういうの久しぶりだな…」
仕事に追われる日々で、プライベートで外に出る機会ってほとんどなかった気がする。
ましてやこんな人がいるところは久しぶり。
俺は少し前を歩く凛に視線を移す。
1人嬉しそうに綿菓子を買う凛。
その笑顔があの花火大会の夜に重なるー。

