「へぇ! そうなんだ。じゃあ話が早いな。主演の俳優がどんな感じか知ってると曲作りのイメージし易いかと思って紹介したんだけど、その必要なかったわけか」
「あの、その話ですが…、まだ」
「え? OKじゃないの?」
「事務所とかスケジュールの都合もあるんで」
俺は軽く断り口調でそう切り出す。
「そうか、そうだよな。じゃあもう少し検討してくれない? 返事は今日じゃなくていいから」
「…」
「潤一くんじゃなきゃダメなんだよ」
監督が急に真剣な表情になった。
「この映画にピッタリくるのは、SKYの音楽と君の声!」
監督が俊介の肩をポンポンと叩いた。
「そんで潤一くんの世界観。これは俺の確信!」
「監督…」

