維新なんてクソ食らえ後始末が大変でしょ。浅木の巻

新聞には、街や塔の火事は、精神異常の放火魔のことになっていて、犯人は最後には塔に火を放って自殺したと書かれていた。

いつものように、昼時の小料理屋は賑わっていた。

小春は多くの注文を受けては料理を運んでいた。

そこに、傷の癒えた浅木が医者の姿をして入ってくると、みんなが声をかけてきた。

小春が浅木の背中を軽く叩くと、あの時の傷に触ったので、浅木はえびのように背中をのけぞらせて、目に涙を浮かべた。

皆がその大げさな様子がおかしくて笑った。


藤田が店に入ってきた。

彼は浅木のことなど気にかける風もなく奥のいつもの席に座った。

重爺が茶を持って席に置くと、彼の耳元で何かをささやいた。

また、何か事件を持ってきたようだった。