浅木が探していた小料理屋は、

今まで彼が歩いていた大通りの


一つ向こう通りだった。




店並みが続いている中に、


「はるさめ」


という看板が出ている小料理屋があった。




「爺さま。


 浅木さん来たよ」



小春が店の中に入っていった。


浅木も小春に続いた。




「小春かい。


 今、手が離せないから、


 奥の居間で待っててもらえないかな」


厨房の方から、


年寄りの声がした。