小春は


すぐ


別れようとした。




「なあ、


 ちょっと待てってくれよ。



 『はるさめ』って店


 知らないか」



ぶっきらぼうに浅木は尋ねた。





「えっ」



小春は少し驚いた顔をした。




「あなたが


 浅木さんなの」



「そうだけど」



「じゃあ、

 ついて来て、

 爺様が待っているわ」


小春は少しうれしそうな顔をして、

浅木の先になって歩き始めた。