小料理屋の使用人の女が小走りで近づいてきた。


「お頭、夜回りはどうなさいますか」


小春は立ち上がりながら言った。


「今用意する。表で待っていてくれ。サキ」


浅木が目を少し見開いて尋ねた。


「お頭って呼ばれているのか。それに、夜回りもするのか」

「お頭は夜だけの呼び方。それに昔からこの街の平和は私たちが守っているのよ。あなたも一緒にくる」


と言って、少し胸を張った。


「いいや、遠慮しておくよ」


小春はサキと暗闇に消えた。


浅木は小春とは反対の自分の部屋へと戻った。