そんな他愛ない話をしていると、あっという間に出発の時間になってしまった。

「よし、行くか。」

「うん!楽しみだね~」

満面の笑みを浮かべながら、家を出る優希の姿が、今でも、目に焼き付いている。

意気揚々と、バスに乗り込んで行く姿。

窓際の席は譲れないと、駄々をこねる姿。

そして、悲鳴と轟音の中、最後にみた優希の泣き顔。その全てを、俺の脳が、体が覚えている。

優希が、最後に言った、「助けて」

俺は、優希を守ることができなかったんだ。