「…先に謝るなよ、バカ。俺が謝れないだろ?」

会えたのは素直に嬉しい。
でも、改めて優希の死を突きつけられたようで辛かった。

「…バカはあんたよ。私に何を謝るっていうの?」

そんなの決まってる。

「お前を、守れなかったことだ」

じっと、優希の目を見つめる。

「いつも偉そうなことばかり言って、肝心なときには何もしてやれない!ただ、泣くことしかできないんだ!こんなんじゃ……、こんなんじゃ!?」

そこから先は言葉にならなかった。嗚咽が遮ってしまい。

「そんなことない。私は、あんたにいっぱい助けてもらった。それは感謝することであっても恨むようなことでは決してないわ」

早紀ちゃんにあれだけ諭されたはずなのに、俺はまた同じ事をくりかえしている。

バカだ、俺。

「でも、言わせてほしい。…本当にすまなかった。俺が温泉に行こうなんて言わなかったら、こんなことにはならなかったのに」