忘れはしない

「痛っ!」


「ちょっと…っ、そんなにびっくりすることないじゃない」

見上げると優希が腰に手を当て、呆れたような顔で立っていた。

「ゆ、優希!? な、な、なんでここに!?」

「あんたが、いつまで経っても戻ってこないから探しにきてあげたのよ」

「それはどうも…じゃなくて! 式はどうしたんだよ!?」

軽く考える素振りを見せた後、笑顔で言った。

「んー、さぼっちゃった」

ペロっと舌を出す。

「サボっちゃった、ってお前」

「いいの! 私が好きでサボってるんだから。それに、あんたにそんなこという権利はないはずよ」