忘れはしない

体育館から国家が聞こえてくる。

どうやら、卒業式が始まったようだ。

「はぁ、何やってんだ、俺は…」

独り自虐的につぶやく。

ここは、校舎の屋上。

俺は、卒業式をすっぽかしたのだった。

あの後、巡り巡ってたどり着いたのがここだった。

結局、教室に戻る気にもなれず、式をさぼることにした。

後で、担任にこってり絞られるだろうな。

はぁ、馬鹿だ、俺。

こんなことしても、何が変わるわけでもないのに…。