「ヒロ、旅行っていつくらいに行けるかな?」 退院前日に和也の口から出た言葉だった。 「無理をしないというのであれば、抗がん剤治療前に行ってきてもいいですよ」 私の代わりに、病室を訪れた大木先生が答えてくれた。 穏やかな笑顔も一緒に。 その笑顔だけで、私の免疫力が上がる。 言葉がなくても人を癒す事が出来る先生。 「ヒロ……ラベンダー見に行かない?」