「香苗、ただ見に来ただけでしょ?今日買うつもり?」


はぁ。と溜め息をこぼして
子供をなだめる親のように口を開く。




「まだ買わないけどぉ。でもこれかっこよくない!?」


「…あんたねぇ。」



呆れたように腕を組むあたしに

「じゃあ海音は大輔くんに何あげるの?」
と逆に聞き返された。




あたしの罪悪感がピクリと疼き出す。



「…まだ決めてない。クリスマスなんてまだまだ先じゃない。」


そう言って
あたしは香苗に背を向け

ブレスレットが置いてあるガラスケースに視線を移した。





大輔――


あたしの彼氏。
もうかれこれ1年の付き合いになるだろうか。



あの日
そうくんを紹介されたあたしには


彼氏が居たんだ。