こうやって
大輔の目を見て話すのは


いつ振りだろう。




何だか酷く昔の事のように感じる。




「まぁ、これ食べてさっさと行こうぜ。」

「おしるこ!懐かしい!」


テーブルの上で湯気を立てるおしるこ。



口に含んだらあんこの甘さが広がって
子供の頃を思い出した。



「大輔のお母さん、料理上手だよね。」

「そうかぁ?毎日食うと飽きるぞ。」

「贅沢~。」




あれから


あたしは携帯を開く回数が減った。



と言うよりも
もう開いてはいけない気がするんだ。





パンドラの箱。



開けた時
最後に残ったのは希望で

そこに愛は存在しなかった。




そう


あたしにとって
そうくんはそんな存在。




手を離せば
それは簡単に忘れる事が出来る。



そうくんは
あたしの希望だった。



愛ではなく希望。


決して触れてはいけない


たった一つの愛。