「へっくしゅん!」


隣に座るそうくんが
あまりに古典的なくしゃみをした。



「ふふっ。」

「あ。今笑った?」

「だってそうくんが変なくしゃみするから。」

「焦って出て来たら上着忘れたんだよ!」



そう言って袖を丸めるそうくんは
すごく可愛いくてあたしの胸をまた
締め付ける。



「ありがとう。」

自分の首に巻いていたマフラーを
そっとそうくんの首に巻いた。



「いいよ!海音ちゃんが風邪ひくよ!」

「大丈夫。あたしマフラー本当は好きじゃないの。」


すっかり冷たくなった紅茶は
それでもすごく甘くて
あたしに安らぎを与えてくれる。



マフラーを嫌いだという理由を話したら


海音ちゃん変わってる。

そう笑われた。