パタンと閉じた携帯をスカートのポケットに入れて歩き出す。


とりあえず帰らなきゃ。




駅に背を向け
冷静な頭で自宅までの道のりを思い浮かべる。



早く
眠りたかった。


全てを忘れるくらい
深く



眠りたかった。






~♪~♪~♪


そんな時
ふいに鳴り響く着信音に
あたしの肩は震え上がった。




まさか……。


スカートの中で激しく鳴る携帯に
あたしは恐る恐るポケットに手を入れる。






さっきまで流してた涙が


またこぼれてしまいそうだった。




画面に浮かぶ



『柳 蒼真』


その名前。





名前だけで
こんなにも愛しくてたまらない。



いつの間に
こんなに好きになってしまったんだろう。