「…二人はずっと…想い合ったまま、離れていたんだね。」
「……香苗…。」
ぼやける視界が
香苗の笑顔を滲ませた。
「大丈夫。そうちゃんは海音を残していったりしない。」
窓の外
流れる雲が
ゆっくりと明日を運んで来る。
あたし達は
少しずつ
だけど確実に
未来へと近付いていて。
「海音。泣かないで。
そんな泣き虫に、そうちゃんは譲れないよ?」
一歩先に大人になった香苗が
あたしに笑ってくれた。
ありがとう、香苗。
大丈夫。
そうくんは大丈夫。
未来は
あたし達を裏切ったりしない。
あの温もりも
瞳も
優しい声も
全て
あたしの未来に繋がるんだから。
そうくん。
早く、会いたいよ…。

