秋の日差しは
夏よりももっと強く
この病院を照らし出す。
白い廊下は
やけに静かで
あたしの心に暗い影を落とした。
「ねぇ…海音。」
香苗の呼び掛けに
あたしはゆっくりと顔を上げる。
「まだ、海音に言ってない事があるの。」
「…え…?」
言ってない事…?
立ち上がった香苗は
窓の手摺に寄り掛かって静かに話し出した。
「…そうちゃんと海音は似てる。」
「……似てる…?」
香苗の言わんとしてる事がわからない。
そんなあたしに
少しだけ笑みをこぼした香苗は
「そうちゃんも、海音の話すると…。
いつも寂しそうだった。」
と口を開いた。
え―――…?
ドクンと
心臓が音を立てる。
そして香苗は
あたしの前に立って
最後の言葉を告げた。

