例えばもし
この世にタイムマシーンがあったとしたら
あたしは迷わず手を伸ばすだろう。
伝えきれなかった想い
抱えきれなかった愛を
全て残らず
あなたに届けたい。
キスをした海も
涙をこぼした公園も
手を繋いだあの朝焼けも
全てが
あなたとあたしの小さな思い出だから
その胸に焼き付けて。
――――…
「海音…大丈夫?」
俯くあたしに
香苗が温かい紅茶を差し出してくれた。
「……ありがとう…。」
受け止った缶から
手のひらに温かさが伝わって来る。
『…一命は取り留めました。
しかし……いつ、また急変するかはわかりません。』
先生の言葉が
頭から離れない。

