そこには呆然とする
そうくんのお母さんが座っていて。
病室の前は看護婦さんが険しい顔で動き回っていた。
「海音!!」
「…香苗…。」
香苗があたしに走り寄って来る。
「何してたの!?ずっと連絡してたのに!」
「…え…、あ…ごめん。」
頭が付いていかない。
みんなここで何してるの?
何があったの?
戸惑うあたしに
香苗が言った。
「さっき、そうちゃんの容体が急変して……。」
え―――…?
そう言った香苗は
崩れるように泣いてしまった。
あたしは香苗を通り過ぎて病室へ駆け出す。
そして
あたしが見たのは
人工呼吸器を取り付けられ
色んな機械に囲まれるそうくんの姿。
全ての音が
消えた。

