ベッドの脇に飾ってある一輪の花が
風に揺れる。

その拍子に
香苗の髪の毛がふわりと舞った。




「……え?でも…。」

香苗の発言に言葉を詰まらせるあたし。


香苗は出席日数が足りない。
今、学校に来たところで留年はもう決定していて。
退学届けも既に受理されている。




そんなあたしに
寂しい瞳を向ける香苗は

「…知ってるよ。もう、あたしみんなと卒業出来ないんだよね。」
そう呟いて長い睫毛を伏せた。



「だけどね、あたし…。」


顔を上げた香苗の瞳には
力強い決意が見えて。


「あたし、みんなと卒業したい。海音とまた、学校行きたいな。」

だから浦吉に相談してみる。
と小さく微笑む香苗。




「香苗……。」


嬉しかった。

また、香苗とあの教室で笑い合って
学食の中華丼に並んで

他愛もない話で盛り上がる。



そんな二人に戻れたら。



何度も思ってたから。