やっぱり
神様なんてどこにも居ないんだ。
あたしの小さな祈りすら
神様は叶えてくれなかった。
ならば
あたしは誰に
この僅かな希望を託せばいいの?
「香苗…っ!」
バタンと開いた扉に
目を真っ赤に染めた香織と雅美がそこに居た。
「海音……。」
あたしに近付き
雅美は小さく震える。
「……香苗から電話が…あったの…。
海音に…っ。
ごめんねって…伝えて欲しい…って…。」
途切れる雅美の言葉に
あたしはふらついた足を一歩ずつ踏み出した。
ベッドに横たわる
青ざめた香苗の姿。
細い手首には
痛々しい包帯が巻かれていて。
「…様子がおかしかったから…。香織と…二人で香苗の家……訪ねて…。」
そうしたら――…
そこで雅美は
泣き崩れてしまった。
香織は俯いたまま
肩を揺らす。