夏は本格的に暑さを増して


高校最後の夏休みが始まった。




通り過ぎる公園に
うるさいくらい蝉が鳴き続ける。





『それじゃ、また後でね!』

「うん、わかった。」


眩しい太陽を背にあたしは携帯を閉じた。

今日は香織と雅美、三人でプールに行く約束をしている。




「暑……。」


ただ歩いてるだけなのにじんわりと汗が浮かぶ程の太陽の光。



日焼け止め持ってくればよかったな…。
なんて今更後悔してしまう。





――あれから
時間だけは足早に過去って
あたしだけをあの日から遠ざけていく。





変わりゆく景色に


まだあの人に縛られたままのあたしは
ただ、目の前にある毎日を過ごしているだけ。




心は何も変わってなかった。