生温い風が
あたしの髪を扇ぐように窓から入り込んだ。



いつの間にか過ぎ去った雨期は
それと同時に
この世界を焦がすように熱くしてゆく。




もう、夏はすぐそこにいた。




「よーし。席に着け!テスト返すぞ~。」


ジャージから
Tシャツに衣替えした浦吉がクラスメートのテストを手に
教室の扉から現われる。



もちろん
クラス中はブーイングの嵐。





一学期の期末テストの結果で
これからのあたし達の未来が大きく分かれる。




「沖村。」


名前を呼ばれて浦吉の前まで行くと

「よく頑張ったな。この調子で頑張れよ。」

と肩を叩かれた。




返却されたテスト用紙は

今までに見た事もない数字が並んでいて。




「いいなぁ。海音は本当何でも得意だよね。」


雅美が頬杖を付きながら溜め息をはく。