「海音…。」


頬に感じる痛みに
あたしはまだ呆然としていて。

お母さんがあたしの背中をさする。




「ああ見えて、お父さんすごく心配してたのよ。」


わかってる。


「だから、許してあげてね?」



あたしは滲む涙を堪えて小さく頷いた。


それを見たお母さんがあたしの頭を撫でる。





それからあたしは
決壊した川のように


溢れる涙を止められなかった。







誰かを傷付けたかったんじゃない。


この恋を
そうくんへの気持ちを
ただ、貫きたかった。



だけど結局は誰かを傷付けて

そうでしか自分を守れなくて。





一生懸命大人ぶって
精一杯、大人になったつもりでも



結局あたしはまだ子供で

一人じゃ何も出来なかった。