そうくんの肩越しに
大勢の人が見えて


あたしはやっと状況を把握する事が出来た。




あぁ、そうか。
あたし階段から……。



ぼんやりとした意識の中思ったその時。

「…っ!!」




下腹部の痛みが
あたしの五感を集めた。




「海音!?腹、打ったのか!?」


そんな様子に気が付いたそうくんが
お腹にあるあたしの手に自分の手を添えた。



あたしはその手でそうくんの服を掴む。




「…お願い…。助けて…っ!」


「海音…?」




体のあちこちから痛みが走り
話す事すら困難だった。




だけど――…






「お願い……っ!



この子、助けて…っ!」


一筋のあたしの涙に
そうくんが眉をしかめて呟いた。




「海音、もしかして…。」




小さな希望。


それは
この小さくて




儚い命。