すっかり日が落ちた校舎に伸びる影。


サッカー部と野球部の掛け声が響くグラウンドの脇を
あたしと香苗は歩いて校門へと向かった。




「じゃあね。ちゃんと仲直りしなよ。」


「うん。わかったぁ。」



手を振る香苗の影が
薄暗い街灯に消えるまで見送ったあたしは

その足で反対方向へと歩き出す。




これでいい。
これが、あたしの役目。



『そうちゃんが居なきゃ生きていけない』


帰り際、香苗はあたしの手を握り
そう呟いた。


それはあまりに小さな声で
あたしは聞こえないふりをした。




わかってる。
あたしはそうくんの彼女の親友で

こうやって相談に乗るのも親友として当たり前なのだ。




わかってるのに……


どうしてこんなに苦しくなるの?