この状況で
あたしは何を香苗に伝えたらいいのだろう。


だけどもう
何を言っても香苗には届かない気がした。






「香苗、落ち着けって。ちゃんと話すから。」


今、この場で冷静なのはそうくんだけで
あたしはただ呆然と二人を見つめてる。


いや、足が竦んで動けないんだ。




ちゃんと
あたしの気持ちを
香苗に話すつもりだったのに。



全てが遅かった。






遅すぎたんだ。








「何を…?何を話すって言うの?


親友と彼氏が一緒に居るのを見て、どうやって冷静で居ろって言うのよっ!!」



見る物全てに嫌悪感を抱いているように
香苗はそうくんを睨みつける。




悪いのは
紛れもなくこのあたしで


宥めるそうくん。
逆上してゆく香苗。


そんな二人を前に
どうすればいいのかわからない。





小さな希望すら



見えない。