「ねぇ海音、どうゆう事なの?」




空は憎たらしいくらい晴れ渡っていて。



だけどそれは
今のこの状況にとても似つかわしくない。




だって悲しさが含まれた香苗の瞳は
微かな怒りが揺れているから。





「香苗…、違うの…!」


そうくんの手を振り払ったあたしは
真っ直ぐに香苗を見つめて言葉を繋ごうとする。



「海音、俺が話すよ。」


だけどそれは
そうくんの強い言葉に見事にかき消された。




「海音…?そうちゃん、何で海音の事呼び捨てで呼んでるの!?」

香苗はもう
正気ではなかった。



泣き叫ぶように言葉を発しては
見た事もないような視線をあたし達に向ける。




そんな香苗に
あたしは言葉が出て来なかった。