願いは、ただ一つだけ。






あなたが
あたしを忘れない事。




「もう、顔も見たくないの。」



最低だったな。
って言って
あたしをその胸に刻み付けて。





「何が…あったのか



言ってくれよ…。」



こんなんじゃ納得出来ない。
とそうくんは崩れ落ちて頭を抱えた。



鼻の奥が痺れる。


だけど泣いちゃダメ。



そうしたら
全て意味がなくなる。




「さようなら。」


「海音!!」



背中に
愛しい人の叫び声を聞いた。


もう、二度と聞けないとわかっていた。

だけど振り返らない。


決して振り返ったりなんて出来なかった。








願いは、ただ一つだけ。





あなたが


世界一、幸せでありますように――…