ふと
窓の外にバイクの音が聞こえてきた。




まさか…。


月に向けていた視線を窓に移す。

ゆっくりと立ち上がり
あたしは震える腕を伸ばしてカーテンを開けた。







『海音。』


そこには



静まり返る住宅街に
口をパクパクさせたそうくんが居て。



『会いたかった。』
そう、言った気がした。


あたしはカーテンを閉めて座り込んだ。




本当は
今すぐにでも駆け出して行きたかった。


やっと繋がれた手に

やっと伝え合う事が出来た気持ちに



胸が引き裂かれてしまいそうだった。





だけど――…



あたしはまるで重りがつけられたように動けなくて

お腹の中の命が
泣いているような気がして




逃げるように布団を頭から被った。