全てが閉ざされた暗いこの部屋で
あたしはただ空に浮かぶ月を見上げていた。



泣く事に
疲れてしまったの。



だってあたしに
涙を流す資格はない。




お腹に手を当ててみた。



今、ここに
小さな小さな命がある。



相手は
考えなくてもわかっていた。


考える方が無駄だ。






大輔に
何て話そう。


これを聞いて
何て答えるだろう。




想像も出来なかった。




だけどこうしている間にも
お腹の中の小さな命は生きようと頑張ってる。







こんな小さな命を





守りたい。
そう思うのは
母性本能からなのか。





再び顔を上げて
月に視線を送る。






今日は、朧月夜だった。