反対車線を横切る車のライトが眩しい。



足早に過ぎる景色を
あたしはただぼんやりと眺めてた。






あたしは今
あの海岸へと向かっている。


きっと
そうくんが待ってる。





あたしの事を――…







「240円のお釣ね~。」

「ありがとうございました。」



運転手にお釣を受け取り
あたしはタクシーを降りた。



微かに香る潮風の匂い。


懐かしい、海の音。






高鳴る鼓動に深呼吸をして
あたしは海岸へと足を向けた。










『×××海岸まで。』
そう告げたあたしに運転手が不審に眉を上げた。



当たり前だ。
こんな夜中に女一人で海に行くなんて
どう考えてもおかしいだろう。



だけどあたしは

『×××海岸まで、お願いします。』と念を押して口を開いた。




もう、気持ちは一つ。


あの海岸に
そうくんは居る。