「海音ちゃん!」
愛しい人の声が
波の音と共に響く。
「海音っ!」
捕まえられた腕が
引き寄せられるようにあたしはそうくんの胸に包まれる。
「海音……。」
ダメだよ。
もう、これ以上
罪を重ね合うのはやめよう。
「俺……。」
ダメ…。
もうやめて。
「海音の事――…」
やめて…。
それ以上、言わないで。
「好きなんだ――…。」
ドサッ!
そうくんの言葉と同時に
あたし達の体は離れた。
「海音……?」
正確には
あたしがそうくんを
突き飛ばした。
『好きなんだ――…。』
世界で一番
幸せな告白は
世界で一番
残酷な告白だった。

