騒がしい表から聞こえる音。


でもここは離れているから少ししか聞こえない。


だからあたしのこの小さい声もきっと星桜には聞こえたはず。




普通は誰だってそうだと思う。
自分の母親のお金を稼ぐ場所が、夜の世界。


体を売ってるなんて…


確信したくない。


そう思いたくない。



それが本当の事ならあたしはどうなるだろう?



お母さんになんて言う?





心の中で自分に問いかける。


自分の世界に入っていたあたしを現在に戻したのは、



「逃げるな。」



その星桜の一言だった。



「…逃げる?」



「本当の事を知らずに、疑い続けるのか?
そんなままで、これから毎日過ごせるんだな?

俺は…自分の母親を疑い続ける生活のほうが…



ずっと怖えぇよ。」






星桜の言葉は重い。

あたしの心にずっしりとのしかかる。



それで…


なんの反論もできない。


当たってる。


星桜の言ってることすべて。






そっか…あたしは最初から―――――。