「…すまん、思いつかない。」

「だろうと思った。」


だったら止めろよ…全く

「仕方ない、妥協してしりとりでもしよう。さて、今日はなんて言葉から始めようか?」

「ちょっと待て、この会話の流れ一週間は続いてるぞ?」
ここはしりとりクラブか とツッコミをいれると同時に一喝された

「馬鹿かお前は!!しりとりを舐めるな!しりとりはなぁ…しりとりは!唯一私が一ヶ月やり続けて飽きないものなのだぞ!?それを愚弄するなど断じて許さんぞ私は!もういい!!お前とは口をきかん!」

散々な持論の展開
敢えて言う こいつの弁論は素晴らしい
一息に言葉を吐き出し相手の心関係無しに結末を勝手に決めつける

とりあえず 今日は口をきくことはないらしい

「そうか、なら俺は帰る」

荷物をまとめドアノブに手を掛けた


―――その瞬間

「しりとりの"り"から。林檎。」

「お前、さっき口をきかないとか言ってなかったか?」

「…林檎」

「随分自分自身ですなぁ…。」

「林檎!!」

「愛媛の果物は?」

「林檎」


こいつは馬鹿か
「…蜜柑だろ、そこは。」

しりとりが始まった