「真治帰ろう!」 「え、あ…別にいいけど……」 あたしは真治の腕を無理矢理掴んで、寮の間の廊下をいつもより早歩きで歩いた。 「ちょっと葵待てよ…!」 「待たねぇよーだっ!!!」 あたしは舌をだしてあっかんべーをした。 絶対待ってやんないんだから!! 「葵〜」 「ヤダ!」 「葵ってばー」 「知らない!」 そんなことを言いつつも、心のどこかで楽しんでいる自分がいるのは確かだった。 こんなくだらない会話があたしにとって心地良かった。