前までは、女物の香水だって平気だったのに…
いや、むしろ好きだったかな
それなのに今は、そのせいで頭が痛くなってきている。
早くここから抜け出したい気分。
前の俺ならこんなことあり得なかった。
どうして…?
「…はい、終了!撮影お疲れ様でした!」
「ありがとうございました。」
撮影が終わり、スタッフやモデルの皆に「お疲れ様でしたー」と声をかけながら、控え室に戻った。
「疲れた…」
思わずため息が漏れる。
撮影は倶楽部で毎月撮っていたけど、女と撮るなんて初めてだし、正直言ってあの体勢は結構辛い。
あれが葵だったら楽なんだけどな…
って…俺の馬鹿!!
また葵のこと考えてるし……
本当だめだ。
トントン───
「…どうぞ。」
「あの…さっきはお疲れ様でした!」
「あー…さっきの。」
ドアを開けると、普段着に着替えたさっきの相手役のモデルが立っていた。
「すごいかっこいいなぁ〜って思って……良かったら、アドレス教えてもらえませんか…?」
「あー…ごめん。俺、携帯壊れちゃってメール出来ないんだよね。」
「え?じゃあ、私のアドレスを……「本当ごめんね。」
本当は携帯は壊れてない。
ついさっきも、使ってたし…
ただ、何故か教えてはいけない気がした。
「すいませんでした……なんか無理矢理聞いちゃって…彼女さんとかいますよね?」
「……いないですよ。」
「じ、じゃあ…また来てくださいね!」
「はい。」
たぶんまた来る。
来たい訳じゃねぇけど…
きっと来ることになる。
「…葵」
ごめん、葵。
やっぱり俺には貴方を忘れるなんて無理みたいです。

