* * *
「…ここか」
白いビル
中に入ると、笑顔で向かい入れられた。
「私、この雑誌の編集長をやってる橘奏恵と言います。よろしくね。」
「よろしくお願いします…」
「今回は初めてだけど、早速撮影に入ってもらえるかしら?あの仔とカップルの設定だから、仲良くしてちょうだい。」
「よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします♪」
やっぱりモデルと言っただけあって、そこら辺の仔とは違う。
でも、葵の方が可愛いんじゃ……
なんて俺全然だめだな…
葵を忘れようと思って、この仕事を引き受けたのに……
忘れるどころか、何かを見る度に葵を思い出してしまう。
「もうちょっとくっついて!」
「え、あっ、はい。」
撮影が始まると、本当のカップルかのように、くっつかなくてはいけない。
いくら撮影だからと言っても、同い年ぐらいの女が目の前にいて、正気でいられるはずがない。
いや、別に襲ったりする訳じゃねぇけど…
それでも普通ではいられない。
それは、つい最近まで葵が隣にいた俺には尚更のことだった。
「じゃあ…そのまま動かないでね!」
んな無茶な…
大体この体勢ってどうなんだよ…
相手役のモデルに後ろから抱きついて、首に腕を回している状態。
別にその体勢自体はそこまで危うい訳じゃないからいいんだけど……
相手との身長差がモデルなだけあって、高いから肩や腰が痛い。
っていうか、なんでだろう…?

