「…ちょっとお客さん、呑みすぎじゃない?」
「……。」
俺は目にとまったバーへと入った。
本当は当たり前に俺は未成年だから、酒なんか呑んじゃ駄目だけど、今の俺にはそんなこと関係ない。
「…おかわり。」
葵がいなくなった今の俺には、こんな物でしか気を紛らわせることしか出来ない。
もう何杯呑んだろう…
流石に頭がぼーっとしてきた。
「お客さん、女に振られちゃったんでしょ?」
「…関係ねぇだろ。」
「それ……渡すはずだった。違う?」
ふと、目を移すと俺のジャケットのポケットから、白い小さな箱が見えた。
コトン──
箱を取り出してテーブルの上に置いた。
「それ…ネックレスでしょ?」
そう。
白い箱には赤いリボン。
アメリカで一目見て気に入った。
その中には小さなハートがついたネックレス。
これを見た時に、葵が頭に浮かんできた。
ちょっと値段は張ったけど、葵の喜ぶ顔が見たくて迷わず買ったんだっけ……
「…もういいんだ。」
でも、もうこれをあげる必要はない。
「なら、私が貰ってもいいかしら?」
「…どうぞ。」
「本当?嬉しいわ。」
店のママの喜んだ顔が葵に被った。
本当なら今頃、葵が目の前で喜んでいたはずなのに……
そう思うと、胸の内から何とも言えない気持ちが込み上げてくる。
やっぱり俺は…

