琉依が帰ってくるのが嬉しいんだか、嬉しくないんだか分からないけど、確実に愁の歩く速度が速くなった。
あたしは着いて行くだけで精一杯。
ふと、前を見た。
さっきまで小さく見えていた、愁の背中が今は目の前にある。
「僕、用事思い出したから一人で帰って。」
「な、何それ…?!」
あたしの声は愁に届かなかった。
段々小さくなっていく愁の姿を見送りながら、なにか嫌な予感がしていた。
「…なんで?!なんでよ…」
金曜日の夜
あたしの携帯が鳴った。
着信の相手は琉依。
ウキウキした気分で通話ボタンを押した。
でも、そんな気持ちはすぐに裏切られた。
「…ごめん。」
電話に出た途端、低く響く声が聞こえた。
「帰れなくなった。」
ずっと楽しみにしてた。
久しぶりに琉依に会えるって
食事の材料だって買った。
それなのに今更、帰れないって…
「なんで…?」
「急に課題がでてさ…ほんとごめん……来週には帰るから…だから」
「いいよ。」
「え…?」
「無理しなくていいから。」
「葵…」
「別に……逢いたくない。」

