「す、すいません!フリーで高校生二人お願いします!」
「あ、はい…27番のお部屋になります…」



とにかく休ませる場所を探していたあたしの目に留まったのは、カラオケボックス。



あたしの顔がすごい形相だったのか、若干店員さんが挙動不審になってしまっている。



27番の部屋は、本ッ当にごく普通のお部屋。



ちょっと爽が休むには部屋が狭いけど…



そんな贅沢言ってられない。



持っていたハンカチを水で湿らせて、爽の額にのせる。



徐々に火照っていた爽の顔も、元に戻っていく。



「…葵、ありがとな。」
「いいから早く元気になってよね?じゃないと、あたしが困っちゃう。」
「ふん…嫌味なやっちゃな。」



そう言って外方を向いた。



いつもは無駄に輝いている爽の瞳がくすんで見える。



やっぱり相当具合悪いんじゃ……



「なんであんなところにいたの?」
「……。」



爽の顔色を伺いながらそっと聞いてみたものの、あっさりスルー。



結局、答えを聞くことは出来なかった。