「な、なんでこんなところにいるのかな…?」
「俺が好きでこんな人混みにいるわけないやろ!」



なるべく笑顔で聞いたつもりだったけど、それが逆に爽の神経を逆撫でしてしまったらしく…



今度こそ口利けません…



誰かこの状況をなんとかしてください…!



「マジもう無理やて…」
「え…?!」



ぐらりと爽の身体が揺れて、そのまま倒れこんでしまった。



「ちょっとふざけ…」



腕に感じる温かさが尋常じゃない。



爽の呼吸も荒くなっている。



これって…



まずい、よね…?



言葉にだすよりも先に体が動き出していた。



つけていた着ぐるみを脱がせて、あたしのブレザーを羽織らせる。



「紗菜!あたしコイツの面倒みてくるから、仕事よろしく!」



後ろから、紗菜の焦った声が聞こえたけど、そんなの気にしてられなかった。



どこか休めるところ…



…!